飛翔


あの男は私を見ていなかった

あの男が見ていたのは母さんの娘

私が私であることは許されなかった。

毎日空から遠ざけられカゴからでることすら出来ない。

そんな生活。
翔ぶための羽はもがれ
歩くための足は結わえつけられ
目に映る景色は日々色を失っていく。

耳に入る言葉は意味を持たないただの振動へと姿を変える。

私は空を駆ける「燕」などではない
ただあの男の声に従う「オウム」なのだと。


日々をただの時間の経過としか見なくなった頃一

私は「光」を見付けた。
無邪気な光は私の傷を癒し、景色を、言葉を再びくれた。
そして思い出すことができた。
「私」は 私 だと一



私が私でありたい。
そんなささやかな願いすら通らなかった。

あの男の薦め、いえ、あの男の決めた大学のあの男の決めた学部へと進んだ。

あの男は未だ「私」を見ていない。

そのくせ全てを管理しようとしていた。

大学へ行く以外外出は許されず、全てを監視され。

やることなすこと全てを決められ。

私は「鳳」に従うだけの「オウム」じゃない、大空を自由に駆ける「燕」になりたかった。


願うだけでは叶わない、そんなことはもう知っていた。

でも行動する勇気さえ無かった……

でも今度こそ飛び立たねばならない。
あの男に鍵を閉じられる前に。

怖くなかった。
半分は誠。
 半分は嘘。


不安ばかりが先に立った。
でも「光」を求めたかった、この身にいっぱいに浴びたかった。


だから

傷付いた翼で


 私は飛び立ち


「光」を見付けた。
私の「風」に
 私の「翼」に
  なってくれる「光」を一



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つばめ先生をネタにしたか悲しめのSSが書きたかった。

でも、救いがほしかった。

それでこんな感じのものになりました。個人としては結構気に入っている作品です。 inserted by FC2 system