詩音のココロ

 あなたは……あなたはまるで童話の中の勇者様のようだったのです。

 昔を、傷付くことを恐れ、仮面を被った私を救ってくれました。

 あなたに触れあうようになったころ、冷たい仮面を被っていた私はあなたの存在を必死に否定していました。

 仮面を脱がされてしまう、それはとても危険なことなのだ、と。

 仮面がなければ私は耐えられない、そう思っていたのです。
 それでも、あなたは私を救ってくれました。
 そう、そして仮面の下で凍りついていた心に温もりをくれました。
 きっとそれだけで十分なのです。

 それ以上を望んではいけないのです。

 悲しくないと言えばすべてが嘘になってしまいます。

 ですがこの国で最後にたくさんのお友達をつくることができました。

 稲穂さん、今坂さん、音羽さん、そして、あなたも、です。

 智也さん、それはすべてあなたのお陰です。

 できることならば、私はあなたの側にありたい。ずっと、それこそこの身が朽ちるその時まで。

 そう思うほど私はあなたに惹かれてしまっています。

 ……ですが、これはただ単に私の願望でしかありません。

 そんな私のわがままで父を独りにするわけにはいかないのです。

 あなたは私のことをどこまで想ってくださっているのでしょう。

 あなたは素敵な人です。側には素敵な方々がたくさんいます。

 こういう言い方をしては不快に想われるかもしれません。私の代わりを押し付けるのではないかと。

 しかし、それでも今、父には私しかいないのです。

 私はフィンランドへ行ってしまいます。

 ですが、もう氷の仮面を被る事はないでしょう。

 あなたに伝えられるのなら、ひとつだけ。

 ありがとうございました。

 そして、ずっとあなたを愛しています。


――さようなら。



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ココロシリーズ第二弾ですねw

フィンランドに発つ前の手紙のような感じですか。

まぁ、多くは語りません。
当時はそんな感じでしたし
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